ぼやけた視界が次第にはっきりしていくと同時に、意識のピントも合ってくる。目を覚まして最初に目に入ったのは、寝る前にも見た、清潔さを装った無機質な白い天井。視線を横に動かすと、そこにはスヤスヤと寝息を立てる少女の寝顔。

「まだ居るし……」

 何となくがっかりした気分になった。
 サイドボードに置いてあったリモコンを取って何気なくTVを点けてみる。パチンッ、という音がしてから暫くたって、画面には微かに見覚えのあるスーツ姿のアナウンサーが映し出される。
 ただそれだけの事がとても懐かしく新鮮だった。TVを点けたらワイドショーをやっていた、ただそれだけの事なのに。

「やっぱ文明ってステキだよね」

 独りでしみじみしてしまう。暫くそのままで、のんびりとTVを鑑賞。政治、経済、スポーツ、芸能と様々な情報が垂れ流されるも、昨日の戦闘のニュースは一切出て来ない。情報操作、情報規制とは言うけれど、人の口に戸は立てられない。一体どうやって使途の存在を世間から隠匿しているのか非常に気になるね。
 気がつくと画面の上、左端の数字は『8:17』と表示されていた。たしか今日は10時からミサトさんと会う約束があった筈だ。

「ん、くうぅー!」

 両腕を高く上げて思い切り伸びをすると、微かにスプリングを軋ませて硬いベッドから降りる。
 ペタペタとスリッパを鳴らしながら部屋の隅に移動し、薄い水色のカーテンを勢い良く開く。
 窓の外は今日も良い天気だった。


D

ear Feeling

act.3 鳴らない、電話




 話し合いはどこまでも平行線を辿った。あくまで『自主的』にだが何としてでも僕をEVAを乗せたいミサトさんと、断固拒否の姿勢を貫く僕。目の前に老人が立っていようとも、平気でシルバーシート座って居られる我々にはお互い譲歩の余地は無かった。

「しつこいですね。一体何時間この不毛な話し合いを続けるつもりなんですか?」
「貴方が首を縦に振るまでよ」

 それは監禁と言うのでは?

「悪いけど、こっちも遊びでやってるんじゃないのよね。あれだけの戦闘力を示した初号機、その唯一のパイロットを遊ばせておける程の余裕は私たちには無いの」
「その割には、この間はあっさり引き下がったじゃないですか」
「あの時は司令の命令もあったし、それに素人を、しかもやる気の全く無い人間をいきなり戦場に放り出したところでどうにかできる状況だとも思わなかったし」

 つまり僕は瀕死の綾波にすら劣るヘタレヤロウだと思われていたのですか?ちょっとショッキングな実態ではあるものの、自分でも完全に否定出来ないところがいと悲し。って言うか、だったら『前回』は何故に僕なんかを乗せたんだ? うーん、ワカラン……。
 ――って、ああ、そうだよ、あの時は父さんの『綾波作戦』にまんまと嵌められて自分から乗るって言っちゃったんだよ。チクショウ、なんて迂闊な人生。

「今は状況が違うでしょ?今すぐEVAに乗って使徒と戦えって言ってるんじゃないのよ」

 わかりやすく言うと、昨日は『今すぐ死ね』で、今は『暫くしたら死ね』って事だよね。ミサトさん的にも、訳の分かんない状況で無理やり乗せられた中学生よりは、契約書にサインして遺書も書いてある人間の方が殺し易いってことかしら?

「だから、さっきから言ってるじゃないですか。僕は何があろうとも絶対にアレには乗らないって」
「そこを何とか、ね?」

 拝むように両手を顔の前で合わせ、軽くウィンクなんてして見せるミサトさん。貴方は八百屋で値切ってるおばちゃんですか。

「貴方の要求は非現実的なもの、例えば『1兆円寄越せ』とかでなければ可能な限り呑むつもりよ」
「家に帰らせてください」
「非現実的なモノは無理って言ったでしょ」

 非現実的なのか!?

「冗談は置いといて――」

 いや、僕は本気だったんですけど。もしかしてわかってて態と言ってるのかしら?





 行く当ても無く、帰る場所も無く、目的も無く、責務も無い。僕は何処へ向かえば良い?僕は何をすれば良い?
 列車の窓から、眼下に広がるジオフロントを眺める。ピラミッドの様な形をした本部施設、それを囲む『もしも』の時の為の兵装ビルとEVAの電源ビル、そして生い茂る緑の木々。見上げれば穴の開いていない天井には無数の採光口があり、地上より取り込んだ太陽の光がこの地下空洞全体を照らしていた。

「自分で考えて自分で決める、か……」

 やがて列車は地上へ続くトンネルへと入り、窓の外は暗闇へと変わった。
 目を閉じて、先ほどまで見えていた景色を反芻する。それはおぼろげな記憶の中にある景色と全く同じものだった。あのスイカ畑が無い事を除けば……。
 加持さん、貴方の教えを胸に、僕は今日もそれなりに頑張っていますよ。





「本日のおすすめ、いや、ここはやはり自分で考えて自分で決めなければ……」

 やっとミサトさんから解放されたその30分後、僕はランチタイムが終わり一息ついたファミレスの一角で早速重大な選択に迫られていた。
 店長オススメ! と赤いゴシック体で書かれたネギトロ丼は味噌汁と御新香がついて580円とお得なカンジ。しかし、まともな―とは言っても所詮ファミレスだけど―食事をするのは久しぶりなだけに、ここは慎重に、最善の選択をするベキだ。

「和風おろしハンバーグ定食、鳥つくね定食、ロースカツ定食、どれも捨て難い」

 ああ、動物性タンパク質を摂取するのはトッテモ久しぶりだなぁ。なんて、ささやかな感動に浸りながらメニューを眺めていたところに、そんな機微は知ったこっちゃないとウェイトレスがやってきた。

「メニューはお決まりでしょうかぁ?」

 やや舌足らずな声で営業用の笑顔を浮べながら言う彼女の胸には、新人の印である青いリボン。
 この店のスタッフは錬度によって与えられるランクがあり、ベテランならば赤、中堅ならばピンク等とそれぞれのランクは制服についているリボンの色で区別されている。
 一部の方々に大人気なこのお店のウリはリーズナブルで種類が豊富な上、味もそこそこな料理の数々――ではなくて、短いスカートとこれでもかと胸を強調した作りの制服に身を包んだウェイトレスだろう。顔と胸のサイズでバイトを選ぶなんて噂があるように、店内を忙しなく行き来する彼女達は皆標準の容姿を持っている様に見える。
 その中でも、今僕の注文を取りにきた彼女のスタイルは最早反則と言うか、犯罪と言うか……。ボタン押したら発射されそうな?
 ――閑話休題。

「えーと、じゃぁキノコと鶏の雑炊と野菜たっぷりスープ、あとコーヒーを」
「コーヒーはホットとアイスどちらでしょうか?」
「あ、ホットで」
「かしこまりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「いいえ、まだよ」

 突然の横槍に向かいの席に目を遣ると、何時の間にやら初号機子(仮名)が座っていた。

「韓国風カルビ丼とエビのリゾットカリブ風、フィレンツェ風ヒレステーキに海老マカロニグラタン、あとスパゲッティアラビアータと子羊のオーブン焼きと豆腐と野菜の煮込み鍋膳とピッツアマルゲリータ、それから冷たいかぼちゃスープとオレンジジュース」

 オイオイオイオイ、マジですか?
 ほら、ウェイトレスもちょっと驚いてるって言うか、ビビってる?

「い、以上でよろしいですかぁ?」
「取り合えずは」





 皿が積まれていた。呆然と、空のグラスをズルズルと啜る僕の前には、ついさっきまで料理が乗せられていた、今は空の皿が、まるで城塞の如くうず高く積まれて、周りを威嚇していた。
 店中の視線を独り占めにしながら、そんな好奇の目など微塵も気にした様子もなく、追加、追加、また追加で見ているだけでもお腹一杯になるほどの量を、彼女は事も無げにきれいに食べ切った。

「こんなに注文して、支払いどうするのさ」

 ズボンのポケット、その中に収まっているサイフを指先で確認しながら、口の周りに付いたミートソースを拭っている少女尋ねた。僕はあんまりお金持って無いっつーか、計算しなくてもあの皿の塔を見れば足りないのは一目瞭然。
 有事の際には彼女だけ残して帰ることにしよう。

「大丈夫よ、お金ならあるわ」

 そう言って彼女はポケットから無造作に、剥き出しのお札を数枚取り出した。
 福沢さんが、1、2、3、4、5人もおられますよ。

「どうしたの?このお金」
「フフフ、蛇の道はヘビって事よ」
「さいですか……」

 なんだろう、警察に通報した方が良い気がするよ。

「ああ、そうそう。君の名前考えといたよ」

 心配事が一つ減ったところで残りの問題も片付けようと、僕は話を切り出した。
 ボリボリと音を立てて氷を噛み砕いていた彼女は、リスの様に頬を膨らませたまま『ふーん』と気の無い返事をした。取り合えず言ってみろって事だろう。

「カグラ――っていうのはどうかな?」

 彼女からのリアクションは無く、ただボリボリと氷を噛み砕く音だけが聞こえた。暫くの沈黙の後、口の中の氷を処理し終えた彼女は「ふーん」と、気の無い返事を返し、グラスに残った氷を頬張る。またもや訪れる沈黙。ボリボリという音だけが、何ともやるせない雰囲気のなかで空々しく響く。
 むぅ……、ひょっとして気に入らなかったのかしら? さっきコンビニの雑誌コーナでCAR GRAPHICを見かけた時に、『これだ!』って閃いた会心の作なんだけどなぁ。
 やがて彼女は空になったグラスを置き、何も言わず伝票を手に席を立つ。

「あれ、もう良いの?」
「ええ、腹八分目っていうでしょ?」
「さいですか……」

 八十分目くらい食べてた気もするけどね。

「何ボケェっとしてるのよ? さっさと行くわよ、お兄ちゃん」

 態度にも、口調にも、仕草にも、何も変化は無かったけれど、ぶっきらぼうに僕を呼ぶ彼女が少し嬉しそうに感じたのは、僕の感違いだろうか?





 もうすっかり馴染んでしまったホテルのラウンジで雑誌を読みながら紅茶を飲む。
 アレから2週間、ある時はリツコさんの、ある時は副司令の、そしてまたある時はミサトさんの、と繰り返される説得を拒み続けて2週間。滞在の為に用意されたホテルの従業員の何人かともすっかり顔馴染みになっていた。

「暇だよね」

 紙面から視線は外さず、向かいに座るカグラに声をかける。

「そうね」

 極めて素っ気無い返事が返って来る。彼女は基本的に素っ気無い人間だ。と言うか、自分の用がある時は此方の都合などお構いなしのくせに、興味の無い事や、気の乗らない時は平気で無視しやがるんだから、実に人として不出来だ。ネコだってもう少し愛想良いと思う。まぁ、今は余りの退屈さに何となく口に出た言葉だったんで、何かを期待してたワケじゃないから別にイイけどね。
 雑誌をテーブルに投げ捨て伸びをすると、ポキッっと肩だか首だか知らないけど関節が鳴った。時計を見るともう彼是2時間程此処でダラダラと過ごしていたらしい。

「何してるの?」

 なにやらしかめっ面で、ボールペン片手に雑誌とにらめっこしているカグラに尋ねる。

「クロスワードパズル。時間潰すにはなかなか良いわよ」

 テーブルに身を乗り出して彼女の手元を覗き込むと、見開き2ページに渡って敷き詰められたマスはもう3分の2程埋められていた。しかし、意外なほどに綺麗な字だ。日ペンのミコちゃんとお友達なのだろうか? てっきりその性格、人間性の如く歪んだ字を書くと思っていたんだけどな。

「何コレ、英語で埋めてくの?」
「ええ、そうよ」
「うへぇ、僕もう英単語なんて殆ど覚えてないよ」

 こちとら洋楽は聴くけど、歌詞の意味は全く分からず興味も湧かずだ。英語に限らず、元からそれ程良い成績でもなかったけど今学校生活に復帰したら大変な事になりそう。
 あーぁ、下らない事はたくさん覚えたんだけどねぇ……。

「ここのALFEEって違ってるよ。peopleはALFIEの方で、これじゃぁ変な形のギター持ってる方だよ」

 鶴とか剣とか、あれのレプリカって結構な値段するんだよね。っつ−か、誰が買うんだろ? あんな物一般人が手にして良い代物じゃないぞ。

「で、ここにIが入ると、横のがNIRVANAになるでしょ」
「ああ、Rape Meを歌ってたバンドね」
「間違ってないけどさぁ……、君はそういう覚え方しか出来ないのかい?」
「そうよ、何か問題ある?」

 あっさり肯定されてしまいましたとさ。

「さて……、そろそろ時間ね」
「時間って、何か用でもあるの?」
「あると言えばある、無いといえば無いわね」

 そんな答えになっていない答えとやりかけのパズルを残し、彼女は何処かに出かけていった。
 一人残された僕は顔見知りのウェイターにチーズケーキを1つ注文して、置き去りにされたパズル雑誌とボールペンを拾う。英語は苦手なので、別の簡単そうなのを探してページを捲り、適当に時間を潰していく。非常事態警報が発令されたのはそれから間もなくの事だった。





 また揺れた、と誰かがポツリと呟いた。ホテルの従業員による指示で速やかにシェルターへと移動した僕たちは、外で何が起こっているか分からないままにただ時が過ぎるのを待っていた。時折聞こえてくる爆発音が人々の不安を煽り、みんな殆ど言葉も無く静かに俯いている。

「あら、貴方妹さんはどうしたの?」

 独りぼーっと天井を見ていたら、女の人が僕に声をかけてきた。その黒を基調にした制服から分かるように、僕が泊まっているホテルの従業員のお姉さんだ。確か……、安西さんだったかな? 下の名前は知らないけど。

「彼女は警報が鳴るちょっと前に外に出たんで、今頃はどこか別のシェルターに避難してますよ」
「そうだったの。でも一緒に居ないと心配でしょう?シェルターの中じゃ携帯も繋がらないし、私も両親が心配で心配で」

 携帯かぁ……、そういえばミサトさんから無理やり渡された携帯電話、公園のゴミ箱に捨てたら次の日に怒られたから、電池抜いてほったらかしにしてるんだよねぇ。どうして押し付けられたモノを捨てて怒られないといけないんだろう?実に理不尽な世の中だ。

「ええ、そうですよね」

 なんて無難な返事をしてはみるものの、実はカグラの心配なんて1ミリもしてなかったり。だって、殺したって死なない様なヤツの心配なんてするだけ無駄でしょう? それなら今月のウルジャンにバスタードが載ってるかどうかを心配した方が幾らか有意義だ。

 ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ

 不意に背中の方で硬質な音が聞こえ、分厚いコンクリートの壁が震えた。一同息を潜め、何事かと音のした方向を恐る恐る注目する。

 ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ

 また同じ音が同じ方向から聞こえた。

 ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ

 そしてもう一度。一定のリズムで三回繰り返されるそれはまるでノックの様な――

 ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ

「入ってまーす」

 なーんつってなー。

「…………音、止んだわね」
「ですね。何だったんでしょう、いったい」

 不気味だ、外はいったい今頃どんな状況になっているんだろう。EVAにはやっぱり綾波が乗っているのかなぁ? 確か、今日来ている使徒はあのイカみたいなヤツだった筈だ。トウジとケンスケはやっぱりシェルターを抜け出しているのだろうか? あの時、僕はミサトさんに言われるまま彼らをプラグに入れたけど、綾波だったらアッサリと見捨てそうだよなぁ。まぁ、自業自得で同情する点は全く無いんだけどさ。
 なんて事を考えていたら――

「んな、何事ぉっ!?」

 大地震でも来たかと思うような激震、そして分厚いシェルターの壁に無数の亀裂が走る。

「壁から離れろっ!」

 誰かが叫んだ。僕はすぐさま隣で腰を抜かしていた安西さんの手を取って走り出す。その直後、一瞬前まで僕等が寄りかかって座っていた場所から、壁を貫いて巨大な手が現れた。

「っげぇ!」

 僕の悲鳴にその巨大な手はピースサインで応えた。





 まただ、また自分の意思ではなくここに座らされている。

「何故だ?」
『坊やだからさ』

 お決まりの台詞ご苦労、しかし今の僕には声に出してツッコむ程の体力は無い。

『お疲れね』
「誰のお陰だと思ってるんだよ」
『フフ、美しいって罪なのね……』
「態となのか天然なのか、前から思ってたんだけど君ってまともに会話できないの?」

 言いたい事だけ言う、言ってる事は意味不明、時々意味深だけど実は意味無し。はっきり言って非常に相手をするのに疲れるタイプだ。っつーか、できれば相手したくない。主に精神方面の健康に良くないです、この手の人間は。

『目と目で通じ合う、そういう仲になりたいわ』
「おのれは工藤静香か」

 あの後、いきなり現れた初号機に当然の様に飲み込まれそうになった僕は、あらん限りの力を振り絞って全力で逃げ出した。走って、走って、走って、セリヌンティウスをも助けちゃうくらいの勢いで走りまくった僕は――
 あっさり捕まった。
 逃走距離僅か500メートル、時間にして2分にも満たない逃走劇だった。ああ、今だけは貧弱でもやしっ子な我が肉体が憎い。

「だいたい、何で一々僕を飲み込む必要があるのさ?」

 趣味か?

『言ったでしょ?私とお兄ちゃんは二人で一人、私一人の力ではEVAを動かすだけで精一杯で、戦闘なんてとてもじゃないけどムリなのよ』
「僕がココに居る事にどれ程の意味があるってのさ、座ってるだけだよ?」
『座っているだけで十分なのよ。要するに電池みたいなものだから』
「電池ねぇ……」
『それに言ったでしょう、私は貴方を守るって。ココは世界一安全な場所よ』

 そりゃぁ、まぁそうなんだけどさぁ……、何となく釈然としないと言うか何と言うか。

『お喋りはお終いよ、見えたわ』

 視界の中に映った小さな黒い点がだんだんと大きくなり、やがて2本の触手の様なものを持ったイカっぽい使途になる。戦自は既に撤退したらしく、戦闘の痕跡は見えるが戦車も戦闘機も残骸以外は見当たらない。邪魔者―と言っても戦自の戦力じゃぁ邪魔にもならないけど―の居なくなった街を、使徒は悠々と進んでいく。

「カグラ、勝てる?」

 僕は一か八かの捨て身の戦法で何とか勝ったけど、あんな博打が何時でも成功するわけ無いし、と言っても僕には他に有効な戦法何て思いつかないし、そもそも考える気が無い。

『心配しなくても勝つわよ。でもあのムチはちょっと厄介なのよね』

 流石のおバカ娘も、ビルを切り裂く様なムチは怖いのか。
 それはそうだ、例え死ぬことは無くても、誰だって、たとえ尋常じゃないオバカだって、痛いや辛いのは嫌いだろう。前回は無傷で勝つことが出来たから良いものの、彼女はコレから先、僕を守る為に傷つき、時には大怪我をするかも知れない。それは僕にはどうする事も出来なければ、どうにかしようとも思わないけれど、それでもあまり気分の良い事ではない。

「カグラ、一応気をつけてね」
『えぇ、気をつけていないと私、新たな悦びに目覚めてしまいそう……』
「……さっさと殺れよ」


※注釈、または解説っぽい言い訳

綾波作戦:無理やり乗せられた印象があったんですけど、自発的ではないにしろ、ちゃんとシンジは自分で乗るって言ってるんですよね。まぁ、そう言わざるを得ない状況に誘導されてはいたんですけど。

1兆円寄越せ:命かけるんだったら当然お金くらい(だけじゃないけど)要求したい所ですが、金やるから命かけろって言われたらお断りしたいですね。あとメジャーリーグやセリエAなんかの選手は何十億円と貰ってますけど、EVAのパイロットの適正報酬ってのは幾らくらいですか?

制服に身を包んだウェイトレス:スクール水着は制服に入りますか? どーでも良いけどメイリッシュだのキュアメイドだのといったキワモノ系のコスプレ喫茶は、雰囲気というか空間というか、客や店自体が放つオーラがスゴイですね。ビグザムの上でマシンガンを乱射するドズルを見た時のアムロの気持ちがわかります。

皿が積まれていた:アニメやマンガでよく見かける光景だけど、フツー空いた皿は片付けるよね。

CAR GRAPHIC:二玄社から出版されている車雑誌。通称CG。テレビで放映されている(いた)CGTVは、古谷徹氏のナレーションと某エロゲに使われたパロディで有名。

ALFIE:ポセイドン・アドベンチャー2で有名(?)なマイケル・ケイン主演の映画ではなく、イングランド発の5人組バンド。peopleはとても良い曲ですよ。

Rape Me:初めて聞いた時は少しビビリました。輸入版を買ったので歌詞の意味は分かりません。

セリヌンティウス:太宰治著『走れメロス』に登場する有名なお人好し。ぐぐって見たところ、走れセリヌンティウスと言うマンガがあったのだが、出版元がラポートだった。ファンロードは読んだことないです。

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